【テンバガー候補の見つけ方】10倍株の探し方をピーターリンチから学ぶ

投資全般
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テンバガー候補の銘柄ってどうやって探せばいいんだろう…

誰もが夢見るテンバガー(10倍株)

アメリカの投資家ピーター・リンチは著書『株で勝つ』の中で様々な観点からテンバガーを見つける方法を教えてくれています。

今日は彼の著書を元に、実際にどのようにテンバガーを、有望株を探すのかをご紹介致します。

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それでは各項目について書いていきます。

自分の身の回りから銘柄を探そう

よく我々はITの銘柄が良いだの、医薬品関連が良いだの言います。

しかし自分がよく知らない会社や何をしているか説明できない会社の株は避けた方が良いです。

それよりも自分が日常で接している企業の株や、よく精通している企業の株を買う方が良いです。

例えばいまあなたが自動車関係に従事していた場合、どの企業の車が良く売れ、どのタイヤが人気かをよく知っていると思います。

これはIT企業に勤めている人や医薬品関係に勤めている人よりも、実際の現場で何が起こっているかをいち早くキャッチできる優位性があるからです。

またその業界の専門知識を蓄えている点でも優位性があります。

企業に勤めていない主婦の方なら最近人気の冷凍食品や、また学生さんであれば高校生・大学生の間で人気のゲームなど、自分の身近で起こっている事から十分に有望株を見つけることができるのです。

つい「隣の芝生は青く見え」ますが、

自分が優位性を持つ領域(=自分が良く知っている分野)

の中から銘柄探しをしてみましょう。

調査せずに株を買うのはやめよう

よく「あのお金持ちの○○さんがこの銘柄が良いと言っていた」という理由でその銘柄を購入する人がいるが、それは避けましょう。

株を購入する際にはまず調査が必要です。

どの点で調査が必要であるか見てみましょう。

収益面を調査しよう

その企業がこれからどれくらい収益を稼ぐか調査しよう

という事です。

人気商品を販売しているA社の株が必ず上がるとは限りません。

その商品の売上/収益がどれほどA社に貢献するかが鍵だからです。

これまでの売り上げの50%以上を稼ぎ出すのか、それともわずか1%前後なのかでは大きな違いです。

A社が出した商品が人気になったからといって、「その企業の株が上がるはずだ!」とすぐにつかみに行ってはいけません。

この際特に会社の規模は重要です。

コカ・コーラやP&Gほどの巨大企業が急成長する事がないように、同社の株価が急上昇する可能性には限りがあります。

あるとすれば業績不振で株価が大きく低迷したが回復してきたために株価も上がってくる場合です。しかしそれは例外的なケースです。

大きい会社の株価よりも小さい会社の株価の方が(上にも下にも)大きく動く可能性があります。

その株がどの分類か調査しよう

株は大きく6種類に分類できます。

  1. 低成長株
  2. 優良株
  3. 急成長株
  4. 市況関連株
  5. 業績回復株
  6. 資産株

①低成長株

(source:Southern Company(SO)の10年チャート

■特徴
・年率3%程度での成長
・かつては急成長株だったが、業界の停滞などで限界に達したか努力を辞めてしまった
・チャート上では「山」がない(少ない)
・配当が高く安定している

②優良株

(source:コカ・コーラ(KO)の10年チャート

■特徴
・年率10-12%程度の成長(低成長株を上回る成長)
・不況時にも強い

③急成長株

(source:ウォルマート(WMT)の10年チャート

■特徴
・年率20-30%成長(優良株を上回る成長)
・低成長産業にしばしば埋もれている
・成長が止まると株価の動きが鈍くなり、株価急落する

④市況関連株

(source:デルタ航空(DAL)の10年チャート

■特徴
・市況関連産業(自動車、航空、タイヤ、鉄鋼、化学など)に属する企業の銘柄
・売り上げと利益が循環的に上下している
・アルプスの地形図のようにジグザグしたチャートを形成する

⑤業績回復株

(source:メルク(MRK)の最大チャート

■特徴
・業績不振で大きく株価を落とした後、業績/株価ともに回復し立ち直った企業
└多角化後業績不振になり株価低迷、分社化し業績/株価回復など
・低成長ではなく無成長企業

⑥資産株

■特徴
・隠れ資産(現金・不動産・土地・権利・特許等)を保有している企業

以上がそれぞれの株に当てはまる6つのパターンです。

急成長株が業界の衰退によって低成長株になったり、ウォールトディズニーのように全6パターンを制覇してきた銘柄もあります。

大事なことはその時々によってタイプが変化する可能性があるという事です。

いまその企業の株がどのタイプに当てはまるのか、じっくり調べてみてください。

完璧な株の条件

面白い事にリンチは13の「完璧な株の条件」を書いています。

  1. 面白みのない、または馬鹿げている社名
    →単純な事業をやっていて、退屈な名前が良い。
  2. 変わり映えのしない業容
    →退屈な業容の会社が退屈な名前であると最高。
  3. 感心しない業種
    →廃油の回収業者やプラスチックのストロー販売などが良い。
  4. 分離独立した会社
    →分離独立した会社は、通常良好な財務内容を持ち、独立するのに十分な備えを持っている。新体制でコスト削減や新戦略の導入で収益性の向上を図る事ができる。
  5. 機関投資家が保有せず、アナリストがフォローしない会社
    →アナリストは100社くらいをフォローするのが限界なので穴株が生まれる。
  6. 悪い噂の出ている会社
    →かつてマフィアとの繋がりが噂された廃棄物処理業やカジノ株などは今や人気銘柄。
  7. 気の滅入る会社
    →サービス・コーポレーション・インターナショナルは葬儀屋である。
  8. 無成長産業であること
    →成長産業よりも葬儀屋やプラスチックのナイフを作っているような企業や産業が望ましい。
  9. ニッチ産業であること
    →映画業界よりも地元の採掘企業のように独占的な仕事がある企業がよい。
  10. 買い続けねばならない商品
    →医薬品、ソフトドリンク、髭剃り、タバコのような企業
  11. テクノロジーを使う側であること
    →値札の読み取り機を作る会社よりも、その装置を導入したスーパーマーケットに投資すべきである。
  12. インサイダーたちが買う株
    →その企業の人たちがしっかりと自社株を購入している=その会社が上手くいっている、と解釈できる。
  13. 自社株買戻し
    →企業が自社の将来に自信があるのなら、投資家が株を買うように自分でも自社の株を買って悪いはずがない、という発想。

難しい表現も多々出てきましたが解釈を挟むとすれば、

人が見つけていない隠れた銘柄でしっかりと収益を上げている株を探そう

という事かと思います。

リンチが避ける銘柄

前章でリンチが「完璧な株」を書きましたが、一方で「避ける銘柄」も紹介されています。

  • 超人気産業の中の超人気企業
    →人気企業は人々の目につきやすいため買われやすいが、同時に株価が下がるのも早い。それは市場参入者が増えるために、人気企業の売上が伸びていきづらいからだ。
  • 「第二の○○」と呼ばれる企業
  • 多角化した企業
    →リンチは多角化を「多悪化」と呼ぶ。
  • 下請け会社
  • 名前の良い会社

とにかく大事なのは収益

色々と書いてきましたし再掲になりますが、やはり

最も大事なのは収益

です。

例えばあなたがコインランドリーに投資する時、最も調べるのは「このコインランドリーが今後いくら稼ぐのか」だと思いますが、株式投資の際も同様です。

またあなた自身が株式会社だった場合、投資家があなたを評価するポイントはあなたの収入と資産です。

こんな当たり前の事ですが、株を購入する際にその企業の収益を入念に調査する人は少ないです。

株価のチャートと収益は相関がみられます。企業の収益が上がれば株価もそれにつられて伸びていきます。逆もまた然りです。

収益が伸びそうな企業の株価は一時的には先行しますが徐々に収益の曲線に近づき下がります。反対に収益に対して株価がついてきていない銘柄の場合は徐々に株価が収益の曲線に近づき上昇します。

しかし将来の収益性を知る事はなかなか容易ではありません。

それが分からないから儲けることが難しいのです。

その場合はその企業がどのように収益向上を図っているのかをwatchしていくことが求められます。

企業が収益向上を図る基本的な方法は以下の5つです。

  1. コスト削減
  2. 商品・サービスの値上げ
  3. 市場拡大
  4. 市場占有率拡大
  5. 赤字部門のテコ入れ/閉鎖/売却

これらを調査することで、その企業の将来性がうかがえます。

将来の事なので確実性は低いですが、参考にはすることができます。

まとめ

いかがだったでしょうか。

すでに知っていたこともあれば新しい見方もあったのではないでしょうか。

マゼランファンドの運用担当者として13年間で1,800万ドルの運用資産を140億ドルに増やしたピーター・リンチ

少しでも彼が見ていて投資への考え方をみなさんと共有できたら嬉しいです。

今回の内容は彼の著書『株で勝つ』の内容を豊富に使用しています。

本当に勉強になる一冊なので、ぜひ皆さんもご覧いただけると幸いです。

ピーター・リンチ『株で勝つ』